前回に引き続き貯蓄の方法をみていくとニーサと並んで紹介されていることが多いのが
「iDeCo」(イデコ)個人型確定拠出年金で、私的年金の制度で、加入は任意です。
そもそも年金は将来もらえるかどうかわからない。年々減っていく。受給年齢が引き上げられる。などなど
年金については皆さんマイナスなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
実際にかけていても将来受け取れるかわからなければ支払うのはバカバカしいなど、若者からの声を聞くこともあります。
しかしながら、年金制度自体がみんなで支えあう仕組みなので、その点は理解したうえで進めることが大切だと思います。
少し話し外れますが、そもそも年金制度の仕組みは?
国民全員が20歳を迎えると「国民年金」に強制加入が始まりますよね。学生の間は措置があったりしますが、基本的には皆が納める必要がでてきます。
次に会社勤めになると「厚生年金」にこれも強制加入となります。いわゆる給与からの天引きですので、納めているというよりも徴収されているそんな感覚ではないでしょうか?
個人自営の方などは、「国民年金基金」を利用して基礎である「国民年金」の上乗せができる仕組みになっています。
「国民年金基金」は任意での加入のため、自営業者の方であれば最低限、国民年金を納めることになります。
そして、一般の会社員の方でも厚生年金だけでなく、ご自身自ら将来受け取りができる年金のために「個人型確定拠出年金」が誕生したような流れです。
段階的に
1・国民年金(20歳以上の誰もが強制加入)
2.厚生年金(会社員の方は強制加入)
3.国民年金基金
4.個人型確定拠出年金
大きく分けるとこのように年金でも分けて考えることができます。
1.2.共通した考え方でみると、どれも年金を受給できるまで恩恵を受けることができない。
また、ご自身の意図に反して納めるというよりも徴収されている意識が色濃い。
そのため年金定期便などで将来受け取れる金額は目にしていても実感が薄い。
その点が年金に対して先行するイメージではないでしょうか?
■では、イデコはどのような仕組みなのか?
制度的には従来からの年金制度と同じかと思います。
ただ、それが個人の意思で運用する、管理する。その点が大きく違うかと思います。
1.どこの金融機関などを利用するか?
2.いくらの掛け金を設定するのか?
3.どの商品を選択利用するか?
分けてみるとこの3点です。
1.どこの金融機関などを利用するのか?
金融機関などは銀行だけでなく、証券会社、保険会社なども窓口となっています。
選択する金融機関によって手数料が異なるため事前に確認をされるとよいでしょう。
また、毎年運用を委託する兼ね合いから毎年「運用管理費用」が発生します。運用する商品によって異なりますのでこちらも併せて確認をしましょう。
2.いくらの掛け金を設定するのか?
月々5,000円から設定ができます。
ただ、お勤め先によって上限が違います。
◆自営業者の方は月額68,000円
◆会社員で企業年金が無い方は月額23,000円
◆会社員で企業で確定拠出年金制度があり加入されている方は月額20,000円
◆会社員で企業で確定拠出年金と確定給付企業年金に加入している、確定給付企業年金のみに加入している方は月額12,000円
※公務員さんは上記と同じです。
◆専業主婦(夫)の方は月額23,000円
3.どの商品を選択利用するのか?
iDeCoの運用商品は、「元本確保商品」と「投資信託」の2つに分類
■元本確保商品とは?
原則として、元本が確保されている運用商品のことで、 所定の利息が上乗せされます。代表的な商品に定期預金や保険商品があります。
■投資信託とは?
投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品です。集めた資金をどのような投資対象に投資するかについては、投資信託ごとの運用方針に基づいて、専門家が行います。
投資信託の運用成績は、市場環境や経済情勢などの様々な要因によって変動します。運用がうまくいって利益が得られることもあれば、運用がうまくいかずに損失が出てしまうこともあります。
※イデコ公式サイトより転載
どこでもでてきます「投資」この言葉の裏にはリスクが介在すること。もう皆さんご理解されていると思いますが、そのリスクだけは忘れないでください。
先の金融機関ごとで取り扱う商品の数も違います。
商品をみると
・資産分散型
・日本株式型
・外国債券型
・国内不動産型
・金
など様々です。
ご自身が毎月運用する金額をそれぞれの中から選んで運用先を決めていきます。
1点集中型もできますし、5点に分散することも可能です。
また商品の見直しもできるので、当初の内は資産形成のため積極的に運用益が期待できる銘柄を選択し、ある程度のラインに達した時点で安定運用に切り替えることも可能です。
本来であれば運用するため運用益が生じた場合はニーサと同様に課税が課せられます。約20%です。但し、今現在は停止されているそうです。
■利用の際の注意点
・長期での運用を目的としているので原則60歳以降でないと受け取りができない。
また、10年以上かけていないと60歳から受け取りができない。10年未満の場合は受給年齢が後ろに繰り下げられる。
・毎月の掛け金をかけられるのは原則60歳まで。
・受給の際に所得控除を受けられる。
・掛け金は所得控除を受けられる。
個人的には縛りがあるものの、所得控除や課税控除は我々にとっても嬉しい制度ですね。
月に1万円をイデコで運用していると年間で12万円。12万円が所得から引かれるわけです。
会社にお勤めの方ならイメージしやすいでしょうか?
年末に会社から頂く年末調整といわれる源泉徴収票
こちらには、
・1年間の給与、賞与の額面額
・納めた社会保険料
・納めた所得税
・納めた住民税
・火災保険などをかけているとその控除額など
そちらにプラスされるわけですね。
少し乱暴な書き方になるとご自身の給与などは売上で、社会保険料などは認定経費として考えると、売上から認定経費を引いた額がご自身の手取りとしての利益というわけです。
会社と同じでこの利益に対して課税額が決められるので、利益が少なければ課税も低く、利益が多ければ課税が高い。
イデコはこの認定経費として認められるので利益を圧縮することができる制度ということですね。
少し脱線しますが、住宅を購入されている方の場合、
住宅ローン控除で、毎年年末の借入残高の最大1%の還付を受け取れますよね。
還付の原資となるのが、納めている所得税です。この所得税で控除しきれない分を住民税からも引いてもらえる。※(住民税についても最大上限があるので注意です。)
イデコを利用することで所得が圧縮されるのでローン控除の額が減少する可能性があることも並行してみておくと良いかも知れません。
持ち家でも住宅ローン控除を受けていない方や賃貸でお住まいの方にとっては、利用すれば所得を下げられるため良さそうです。
前回のニーサは「金融庁」の管轄
今回のイデコは「厚生労働省」の管轄
この管轄の違いからもわかりますよね。
イデコにはこのような特典が付くのは所管が「厚生労働省」であるために年金制度に沿った内容で所得控除の仕組みが存在します。
「金融庁」はお目付け役なので所得に係る恩恵がないんですね。
イデコもニーサと同じく、短期での結果を求めるには難しいですね。
ただ、長期的な観点からみると所得税の控除が受けられる点は長期だからこそ積み上げて受けられる恩恵だと思います。
こちらも他の投資と並行して利用されるとよいですね。
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