前回の記事で競売の動きを見るのも一つということで書きました。
世の中の全ての動きで考えると、今現在から将来の予測を立てて事業を行うのが普通ですよね。
それは投資だけでなく今後何が流行るのか?どんなサービスをお客様へ提供していくのか?
新しい価値を生み出し続けていくことで向上している世の中です。
不動産業界においても同様のことが言えます。
過去を振り返った時にバブル経済のときは、不動産をみることなく、右から左へ話をするだけで100万、200万が簡単に儲かっていたと。金融機関も羽振りが良くお金に困ることなく商売が成り立っていたと当時を経験された経営者の社長からもお話を聞いたことがあります。
当時は簡単に不動産の価格は上昇していき今では考えられない金額で取引がされていました。
また当時の住宅ローンの金利は8%近くに達することもあったそうです。
今の住宅ローンの金利では条件の最優遇がでると0.5%を下回る金利で貸し出しされています。
今では考えられない金利で貸し出しされていたのがわかります。
バブル期の崩壊は1991年頃です。
そして長い不況期間が続き、ようやく明るい兆しが見え始めた時に2008年にリーマンショックがありました。
当時の住宅ローンの金利は3%以下にまで下がりました。
それでも今と比べると高く感じてしまいます。
リーマンショックの時に競売物件はどれくらいの件数があったのか?
※出典元、不動産競売流通協会(FRK)より参照https://fkr.or.jp/crm/stats
リーマンショックのあと2009年から少しずつ競売件数は増え始め、2010年3月では年間1万件の物件が競売になっていることがわかります。
また、ここに掲載されていない数字としては、競売になるまでの任意売却により売却されている方の数も含めるとかなりのボリュームだったことが伺え知ることができると思います。
そして、2年後の2012年には競売の件数も半分近くまで減少していき、直近の2019年では2500件を下回るまでになりました。
ではなぜリーマンショックの後に競売が増えたのか?
その理由としてはバブル経済のころに住宅を購入された方のお家が多かったです。
私が競売に参入したのが2009年頃でした。
まさしくリーマンショックの後に競売に参入しています。
当時はそんなことなど意識したことが無かったので競売の件数が多いとは思いましたがそれ以外の感覚はありませんでした。
高い金利で返済されていた方で職を失った方は一気に返済ができなくなり次々に連鎖のごとく加速していきました。
そんな中、救済措置としての法案が成立しました。モラトリアル法案です。
この法律の導入により徐々に競売になる不動産は減少していきます。
私が勤めていた会社も2011年を機に競売事業から撤退しました。
しかし全盛期のころは人気物件であれば入札の札数は40件を超える件数が入るなど過熱していきました。
撤退した理由は先ほども書きました通り入札物件の減少です。
金融機関の貸し出しする住宅ローンの金利も徐々に下がっていくことで住宅ローンの支払で困窮する方は少なくなったことと推測します。
どちらかというと減少傾向が続いていた競売市場が昨年から件数が増え始めています。
今回のコロナウイルスの騒動より仕事がなくなりローンが払えなくなる方が今後出てくることを考えると、競売市場が今後の不動産市況を予見しているように感じられます。
ただ、バブル期、リーマンショック期と比べると住宅ローンの金利時代が低いので当時の後のような件数の増加は考えにくいですが、市場にでてくることは大いに考えられます。
特に、実需で住まわれている居住用の不動産の件数は多くならなくても、投資用不動産として所有されていた方が返済できなくなり競売に回る可能性は大いにあります。
ですので、「BIT]でネットで検索して頂くと全国の競売情報が閲覧することができます。
そこで入札する物件を探すのもよし、現在どのような物件が競売になっているのかを見るのもよしです。
冒頭でもお話しました通り、競売は半年以上前から執行官が調査したものを競売として一般に売却の募集をかけます。
今現在の広告件数が例えば50件あるとして、3か月後に80件に増えていれば確実に支払い困窮者が増えていることがわかります。
その時点で過去の動きから学び取ることができれば自分は内を注意したらよいのか、どのような対策を立てていくのか学べるものがあります。
すべてがすべてそうだとは言いきれませんが、実際に裁判所がBITで公示している3点セットをこの時期だからこそ見てみるのも良いかもしれません。
そこには所有者や占有者などの権利関係や、不動産鑑定士によるシミュレーションによる収益計算も載っています。現在の市場価格と競売の市場価格を見比べていく上でも参考になるかと思いますのでお時間ある方は見て下さい。
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