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執筆者の写真Takayuki

不動産投資 競売入札シミュレーション6



京都地裁本庁シリーズが続いています。

今回は京都市内ではなく郊外の物件になりますが、収益アパートがありましたので、そちらの入札シミュレーションをしてみたいと思います。



今回のサンプルは、

 

京都地裁本庁

開札期日が令和2年4月23日

■事件番号|令和1年(ケ)第147号

■売却基準価額|39,180,000

■買受申出保証額|7,836,000

■買受可能価額|31,344,000


 

では、3点セットを見ていきましょう。

3点セットで順番に目にするところからご紹介しますね。


 

①期間入札の公告(表紙)

■固定資産税:413,239円

■都市計画税:64,355円

合計:477,594円


 

②物件明細書

4.物件の占有状況等に関する特記事項

【物件番号1、2】

本件建物(物件4,5)の敷地部分を除いた北側の一部が敷地内駐車場として使用されている。使用者らの占有権限はいずれも買受人に対抗できない。

【物件番号3】

本件所有者が占有している。

【物件番号4,5】

別紙賃借権等目録記載のとおり。


※1~3は所有する土地です。

使用者らの占有権限はいずれも買受人に対抗できない。と、ありますので、特に重視すべき使用者ではないです。


 

③現況調査報告書

その前に、賃借権等目録がありましたので、そちらを見てみます。


物件4の建物につき部屋数は6室あります。(内1室が空室)

物件5の建物につき部屋数は4室あります。(内2室が空室)

賃借人は大東建託パートナーズ株式会社になっていて、転貸借で個人へ転貸貸しされているいわゆるサブリース物件のようです。


■物件4の建物について■

①契約開始日から満10年、その後5年毎に、所有者と占有者が協議のうえ、賃料を見直すことがある。

②占有者は本件建物の一定の修繕及び一定の共用部分の維持管理につき費用を負担する。

③本件賃貸借契約が終了した時点において、占有者と転借人との賃貸借契約が継続中のときは、所有者は占有者の貸主(転貸人)としての地位を引き継ぐ。

【賃料】

毎月金229,231円(毎月末日限り、翌月分支払い)

※空室分を除く。資料を見てみると、競売になってしまい、空室の募集ができなくなってしまったことで空室分の家賃保証はなされない契約のようです。そのため空室の1室分は含めない金額で支払されているようです。


■物件5の建物について■

①契約開始日から満10年、その後5年毎に、所有者と占有者が協議のうえ、賃料を見直すことがある。

②占有者は本件建物の一定の修繕及び一定の共用部分の維持管理につき費用を負担する。

③本件賃貸借契約が終了した時点において、占有者と転借人との賃貸借契約が継続中のときは、所有者は占有者の貸主(転貸人)としての地位を引き継ぐ。

※この内容は物件番号4,5共通です。

【賃料】 毎月99,304円 (毎月末日限り、翌月分支払い)

※空室分を除く。資料を見てみると、競売になってしまい、空室の募集ができなくなってしまったことで空室分の家賃保証はなされない契約のようです。そのため空室の2室分は含めない金額で支払されているようです。


■物件1,2の土地(駐車場)について■

毎月36,465円


物件番号4+5+1,2の賃料の合計は

229,231円+99,304円+36,465円=365,000円

この金額が毎月所有者へ支払われている金額です。



※上記表は大東建託パートナーズが転借人から受け取っている金額です。

468,334円-365,000円=103,334円

この金額が管理料でしょうか?


ハウスクリーニング代は返金されないお金とコメントがあります。


現在入居されている転借人のコメントを見る限り特に問題があるような発言の記録は見当たりません。


※物件③の北西側に電柱があるようです。関西電力の電柱で、3年毎に土地使用料を関西電力から受け取っているようです。

1年1500円で4500円受け取り済み。(令和2年3月31日まで)


■関係人の陳述等

1.所有者

①物件4及び物件5の各建物を大東建託パートナーズ株式会社(以下「占有者会社」という)に貸していますが、マンションの管理は子供に任せているので詳しいことはわかりません。

②物件3の土地は占有者会社に貸していません。所有者宅の駐車場として使用しており、駐車場の1区画だけ近所の人に貸しています。

物件3の土地も子供に管理を任せているので、駐車場を貸している人の氏名や契約の内容はわかりません。

③物件3の土地のスーパーハウスは私が置いています。

④物件3の土地の南側は家庭菜園として私が使用しています。


2.転借人等のコメント

特に気になるコメントがなかったので割愛しています。


■執行官の意見

①ライフライン調査の結果、ライフラインの契約者は各占有者か占有者の親族であった。

※各占有者とは、現在住んでいる転借人さんの事です。

②占有者会社が各借り上げ物件を所有者から一括で借り上げ、これを転借していることが認められる。

③占有者会社が各借り上げ物件の占有を開始したのは平成21年4月1日であることが認められる。

④物件4及び物件5の各建物の賃料は、転借賃料の査定額と現実の転借賃料を基礎とした計算により算出される。

⑤物件4及び物件5の各建物の賃料は、平成31年4月1日に改定されているが、この改定額は転借賃料の査定額を基礎として定められた賃料であり、現実には査定額より高い転借賃料で契約している転借人がいるため、賃料額は書いて額よりやや高額になっている。


■執行官の調査の経過

令和元年8月27日~同年10月29日


 

④室内の写真

現在空室になっているお部屋が中心の写真でした。すぐに入居者が入れる感じでしたので、賃借人募集のための改装は不要だと思います。


 

⑤評価書

■位置・交通

JR山陰本線「園部」駅の西方・道路距離約1.5km

■主な公法上の規制等

①第1種住居地域

②建蔽率60%、容積率200%

■画地条件

北側間口約38m/奥行最大約28m

■接面道路の状況

・北側幅員約5~6m接道

・南側幅員約16m(建築基準法第42条1項1号)

・東側幅員約4m(未判定)

・西側幅員約6m(未判定)

■建築年月日|平成21年2月

■経過年数|約11年

■経済的残存耐用年数|約19年

■構造|木造2階建て

■現況用途|共同住宅

■特記事項

・完了検査済み

※物件番号4,5共。


■評価人の評価額

55,980,000円

→この度の競売物件の状況と占有状況から修正がはいり、「39,180,000円」が売却基準額となったようです。


 

以上が3点セットに掲載されいる内容の要約です。


では不動産投資物件(収益物件)として、どうか見ていきましょう。


■現在の収入 365,000円(月額)※関西電力から受領する土地使用料は含んでいません。

365,000円×12ヵ月=4,380,000円(A)

※上記はサブリース使用時です。


■サブリースを外した場合 468,334円(月額)※関西電力の土地使用料は同じく含まず。

468,334円×12ヵ月=5,260,008円(B)


(A)4,380,000円の表面利回り(買受可能価額31,344,000円にて計算)

4,380,000円÷31,344,000円×100=13.97%


(B)5,260,008円の表面利回り(買受可能価額31,344,000円にて計算)

5,260,008円÷31,344,000円×100=16.78%

※サブリース契約は明け渡し猶予の扱いなので契約を解除して直接契約をすることが前提ですね。その際に転貸借契約にどのような影響を与えるかは落札後に確認が必要になるかと思います。


物件の場所柄、どれだけの入札本数が入るのか?

数は少なさそうですが、耐用年数もまだ残っているため融資は受けやすそうですね。


利回りを13%で想定すると((B)での収入で試算します)


5,260,008円÷13%=40,461,600円


売却基準価額の39,180,000円よりも約120万上の入札額位が目安でしょうか?


所有者のコメントを読んでいると、まるで他人事のコメントが多いので、のらりくらりとなりそうなので、しっかりとした態度で挑めば交渉はスムーズなような気がします。

後は、サブリース会社との話し合いで転借人との直接契約に切り替えることができれば、新たに募集をかければさらに収益性は増えますね。


空室の収益性を含めていないのでそちらも見込みで入れると、もう少し入札額を上げて落札されるかもしれませんね。


また結果ご報告いたします!

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